「最近面白いことあった?」
そんな他愛もない会話の取っ掛かりでも
私は外に基本的に出ないので真剣に悩んでしまうことがある。
同じような環境にいる小説家志望の引きこもり友達に作品のネタとかどうしているのか聞いてみたところ
「身近にあるもので創作話や買ってきた物のレビューを書いてみている」
という回答が帰ってきた。
なんて暗いやつなのだと同じ背丈のどんぐりを笑ってみたが
少し興味を持ったので、この使わずに腐りかけたブログを開いてみた。
しかし、何から書いてみるかと身近なものを探して
戸棚を開けてみるとカップ麺があったので
今回は食べたカップ麺のレビューをしてみたいと思う。
しかし、私には味の違いなど表現できない
できて「無限に食える」「ウマイ」「マズイ」の三段階評価なのだ。
そして好き嫌いが激しいので客観的に判断というのは無理な話だ。
「美味しい鶏肉ですね」と感想を述べたら
「それは豚肉だよ」とご馳走してくれた人の悲しそうな笑顔を見た時
人は喜と哀という相反する感情でも同時に表現できることを知った。
その一枚は今でもトラウマという額縁に飾られている。
そんなことを思い出していたらお湯を入れて1分が経ったので早速食べてみる
「ハリガネ やみつき旨辛ガーリック豚骨」
ハリガネとは麺の硬さを表現していてハリガネみたいに固い麺ということだ。
硬めの歯ごたえが好きな人が注文時に使う呪文のひとつでもある。
私はカップ麺に一番重要なのは食べたいと思ってすぐ食べれる気軽さだと思っている。
袋の数が増えれば増えるほど味のハードルは上がっていく
「こんなに袋いれさせたんだから、さぞ美味しいんでしょうね」
空腹は人を嫌な姑みたいにさせるのだ。
このカップ麺は食べる直前に付属のラー油袋を1ついれるだけになっている。
袋は少なければ少ないほどいい。
袋が上手く開かない時や勢いよく開いてしまって手についた時にストレスはすごい。
しかし美味しく食べてもらいたいので袋をつけるという企業努力も汲み取りたい気持ちはあるので袋1つは充分に気持ちを穏やかにさせた。
袋もすんなり開いたし。
なにより評価したいのはお湯をいれて1分で食べれるという点だ
ハリガネという硬い麺で食べることを推奨しているので必然的に待ち時間が短くて済むのだ。
「カップ麺の待ち時間の3分と女の子と話す3分は同じ3分でも違う感じするよね」って
アインシュタインも言っていた気がする。
お茶や箸を準備して蓋を開けてみる。
カップ麺といえどやはり新しいことへの挑戦とは人をワクワクさせる
好奇心とは人を動かす原動力とはよくいったもの
「いや、くっせぇわ」
思わず声がでた。
自分1人しかいない部屋で研ぎ澄まされた五感から自分から発せられた声が消え
匂いだけが残った。
くせぇ……
それはそうだ
にんにく豚骨なんて美味しさと等価交換で”持っていかれた”者同士の悲しきキメラなのだから。
この匂いを嗅いだ時、私の頭の中では羅生門にでてくる死体の身ぐるみをはいで
生計を立てるババアを思い出した。
食事をするときにババアを思い浮かべることなどまずない。
ましてや羅生門のババアなど一切でてきたことがない。
もっと本を読んでいれば文学的な表現ができたのかもしれないが
今の私には羅生門のババァが目の前にいるようだという表現しかできないのだ。
カップ麺だと思ったがババァが入っていたのか。
白髪を彷彿とさせる硬い麺をすすってみる。
まるで人を食う鬼のようだ。
羅生門には鬼が棲むと噂されていたがそれは誰もが鬼になる可能性があるということを伝えたい作品だったのかもしれない。
麺は硬めで食感があり、細い麺なので短い時間でもスープの味がしっかりついていた。
スープもほんのりと辛くていい感じだった。
普通に美味かった
匂いがきつかったので食べ終わったら流しにスラムダンクした。
総評
味:美味しい
匂い:羅生門のババア
手軽さ:早い
三段階評価:ウマイ
あとがき
匂いきついけど、美味しかった
おわり